流れ雲

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テディからの手紙

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幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない


テディからの手紙

このお話しは1976年にアメリカの
「Home Life」という雑誌で投稿された、
実話です。

トンプソン先生は、
5年生のクラスを受け持つことになり、
その初日に生徒達の前に立ち、
嘘をつきました。
彼女は生徒達を見渡し、「あなた達を
全て同じように愛していますよ」と言いました。
でも、それは不可能なことでした。
なぜなら一列目の席にうずくまって座っている
テディ・ストダードという男の子がいたからです。
トンプソン先生はその一年前から
テディのことを知っていました。
そして彼が他の子供達と
上手く遊べないことに気づいていました。
それだけでなく、彼の身なりはいつも汚く、
お風呂を必要としている状態であることも
目立っていました。
そしてテディは、時には
不快な態度をすることもありました。
その様子があまりにもひどく、
不快に感じていたので、
トンプソン先生は赤ペンでテディの解答用紙に
大きなXを書くことに喜びを感じるほどにありました。
そしてその用紙に大きく
「F」(落点)を書くようになりました・・・
トンプソン先生の学校ではクラスの生徒の
過去の記録を見ることが義務付けられていました。
そして、彼女はテディのを見るのを避けるようにし、
一番最後に読むことにしました。
やっとテディの記録を読み出し、彼女は驚きました。
彼の1年生の先生はこう書いていました:
「テディはとても楽しく、知恵のある子です。
彼は正確に作業をし、礼儀正しい子です。
彼といると喜びを感じます。」
2年の先生の報告はこうでした:
「テディは素晴らしい生徒です。
クラスの皆からもとても好かれています。
でも、最近彼のお母さんの具合が悪く、
とても悩んでいます。
家での生活は大変なようです。」
3年の先生の報告です:
「お母さんの死は彼にとって
とても辛かったと思います。
彼は 一生懸命に頑張っているけれど、
お父さんはあんまり関心を示して いないようです。
何とかしなければ、今のままでは
彼は大きな 影響を受けてしまうでしょう。」
そして4年の時の先生の報告を読みました:
「テディはいつも内にこもっていて、
学校に関心を示しません。
友達もいなくて、時々クラスで居眠りをします。」
この4つの報告書を読み終えたころに、
トンプソン先生は何が問題であるかが
理解できました。
そして、彼女は自分のこれまでの態度を
恥ずかしいと感じました。
その恥ずかしさは、あるクリスマス会のときに
更に感じました。
クラスの生徒達が先生のために
沢山のプレゼントを持ってきていましたが、
そのどれもが美しい、
華やかな包装紙で包まれていました。
テディの以外は……。
テディからのプレゼントは茶色の紙袋に
無造作につつまれていました。
トンプソン先生は心が痛みながらその袋を開けました。
その袋から、石がいくつか外れて、
無くなっているブレースレットと
香水が4分の一入っている小瓶が出てきたとき、
クラスの子供達が笑い出しました。
でも、トンプソン先生が
「まぁ、綺麗なブレースレットね!」と言い、
香水を手首につけ始めたら、
クラスの笑いも消えていきました。
その日のクラスの最後にテディは
トンプソン先生のところに行き、「先生、
今日の先生はお母さんと同じ香りがするよ」と言いました。
子供達が帰った後、トンプソン先生は
1時間以上、机で泣きました。
その日、トンプソン先生は国語、
そして数学を教えるのを止めました。
代わりに子供達を教えることを始めました。
トンプソン先生はテディに特に注意を
向けるようになりました。
テディに教えれば教えるほど
彼は生き生きと変わってきました。
励ませば励ますほど、彼の反応は早くなりました。
そして一年の終わりに、
テディはクラスの中でも上位の成績でした。
テディはクラスの中で賢い子達の
一人になっていたのです。
トンプソン先生がその一年の始めに
「皆を同じように愛しています」とついた嘘は
意味が変わり、
テディは「先生のお気に入り」の
一人になっていました。
一年経ったころに、トンプソン先生は
お手紙をもらいました。
テディからのもので、トンプソン先生が
今までの先生の中で一番最高の先生であると
書いてありました。
それから6年が経ち、テディからまた
お手紙が届きました。
高校をクラスの2番の成績で卒業できたと
書いてありました。
そして、これまでの中でも、
やはりトンプソン先生が
一番の先生だったと書いてありました。
それから4年が経ち、テディから手紙が届きます。
4年間辛いこともありましたが、優秀な成績で
大学を卒業することができました、という報告でした。
そして、トンプソン先生は今でも人生で
一番の先生であると書いてありました。
それから、更に4年が経ち、
テディから手紙が届きました。
4年の大学を卒業し、さらに大学院に行き、
頑張ったことが書いてありました。
今でもトンプソン先生が誰よりも一番の先生だったと
書いてありましたが、今度は
手紙の最後に書いてあるテディの名前が
少し長くなっていました。
テアドル・F・ストダード医師、と
サインされていました。

このお話しはここで終わりません。
その春また手紙が届いたのです。
テディは素敵な女性と出会ったと書いてきました。
そしてその女性と結婚することも書いてありました。
彼のお父さんが数年前に亡くなっていることを説明し、
親代わりとしてトンプソン先生に
結婚式に出てほしいと書いてありました。
もちろんトンプソン先生は喜んで出席しました。
そしてあの時テディからプレゼントされた
ブレースレットをはめ、
あの時にもらった、お母さんと同じ香水を探し、
付けて行きました。
結婚式では二人は抱き合いました。
そしてテディはトンプソン先生の耳元で言いました。
「先生、僕のことを信じてくれて
ありがとうございました。
私が大事な存在であること、
そして世の中に貢献できることを 教えてくれて
感謝しています。」
トンプソン先生は涙ながらに言いました、
「いいえテディ、それは違うのよ。
私にも出来ることがあると、
あなたが私に教えてくれたの。
私はあなたが現れるまで、
教えるということの意味を何も知らなかったのよ。」
(Mrs. Thompson)先生のお話しでした。


時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる



もう一人のお母さん




愛されないということは不運であり、
 愛さないということは不幸である。






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