流れ雲

繰り返しと積み重ねの過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく、神戸発信

独りっきりの裁判

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

創作、ドキュメンタリーです。
ストーカー行為から脅迫に至った
加害者を相手に、
刑事、民事と奮闘したあげく、
独りで裁判に持ち込みました。
このストーリーでは、
民事裁判の手法や解説を交え、
被害者が直面されるであろう
問題点についても訴えています。

Author: 壇次郎


独りっきりの裁判 第1-14話 

ビルに近づいた時間は、午前6時半、
橋本さんが来るまでは30分の余裕がありました。
私は当初、警察署に行って、
この中村の脅迫を訴えようと思っていましたが、
「橋本さんが危ない」という不安感の方が勝り、
まずは、交番に応援を求めようと考えました。
中村は犯行を予告しています。
完全に妄想状態に陥っています。
元々、常識では考えられないことをする人物です。
何をするか分かりません。
凶器を振り回す可能性は十分に考えられます。
私一人をターゲットにしているのでしたら、
わざわざ交番に助けを求めることも無いのですが、
バス停からビルに向かって歩いている橋本さんが
襲われるのではと言う不安があり、
近くの交番を選びました。
交番は第一ビルから歩いて2~3分の距離にあります。
ちょうど、橋本さんの利用するバス停と第一ビルの
中間に位置しています。
私は第一ビルに向かわずに、その交番に立ち寄りました。
しかし、交番に人影はありません。
机の上に「御用の方は、この電話をご利用下さい」と書いた、
プレートが置いてあり、
警察署に繋がる様になっていました。
私はその電話を取り、電話に出た方に、
趣旨を説明しました。
「今、警察官はそちらで仮眠中です。
直ちに警察官を起こしますので、
その者と話してみてください」との返答でした。
交番で当直の警察官は、二階で仮眠していたのでした。
私は出て来た当直の警察官に、簡単な事情を話しました。
受信したばかりの留守番電話のメッセージも聞いてもらい、
中村が待ち伏せしているかもしれないので、
一緒に来てもらえないかとお願いしました。警察官は、
「後からすぐにビルに行きますので、すみませんが、
先に行っててもらえませんか?」とのことで、
私は、先に恐る恐るビルに向かいました。
私は、ビルの周囲を一回りした後、
駐車場入口のドアをそっと開け、
人気が無い事を確認し、薄暗い駐車場の中に
入って行きました。
駐車場には数台の車が置いてあり、
誰かが隠れていないか注意しながら、
シャッターを開け、照明をつけました。
ビル建物内へのドアは、施錠のままで、
セキュリティにも異常無く、
侵入者は居ないと判断出来ました。
まだ、中村が来ている様子はありませんでした。
そうしている内に、先程の警察官が
ミニパトで到着しました。
そして、私は改めて、警察官に対し、
詳しい内容を話しました。
私は警察官をビル一階の作業場に案内し、
説明を始めた頃です。橋本さんが出勤して来ました。
橋本さんは警察官を見て、少し驚いた様子でしたが、
さすがに元、寿司屋の女将さん、
全然、動揺する気配はありません。
とりあえず、ビルの中には誰もいないはずです。
橋本さんは、いつもの様にバケツとモップを持って、
ビルの上階へと登って行きました。
私は警察官に、顔写真の付いた
中村の履歴者のコピーを渡し、
深夜から早朝にかけて録音された
留守番電話メッセージを全て聞いてもらいました。
警察官は後日、中村本人に電話をし、
口頭で注意するとのことでした。
また、今後数日間は、ビル周辺にて
早朝のパトロールを強化すると約束してくれました。
警察官は私と同じくらいの年齢の方でした。
「中村が現れても、凶器を持っている可能性があるので、
決して接近しないことです」と言い、
彼は私に、中村が現れた時の身構え方まで教えてくれました。
改めて、警察署に行き手続きや届出をするべきか尋ねましたが、
その警察官から署に報告書が提出されるので、
警察署に出向くかどうかは、どちらでも良いとの返答でした。
「後日、警察署から電話があると思います。
でも、もし、ここでの話だけでは心配でしたら、
警察署の生活活安全課に行って下さい」と、
担当部署も教えてくれました。
警察でも、市役所や普通の会社と同じ様に、
仕事内容によって担当する部署が別れています。
よく知られているのが「刑事課」で、
更に1係、2係と別れています。
その他、「交通課」「総務課」等々、
まさに組織化され、大勢の人が働いています。
一般市民が揉め事の相談に訪れると、
「相談窓口」があれば別ですが、
刑事事件と判断されない限り、
「生活安全課」が担当するケースが多い様です。
更に、程度や内容によっては、
生活安全課の各々の係に振り分けられます。
30分ほど経過して、事情を聞き終えた警察官は、
交番に戻りました。私は、
この警官に話した時点で、脅迫された事の届出は、
なされたものと思っていましたが、
それは、私の勘違いでした。
やはり警察署に出向き、被害届、
又は、『脅迫』に関する刑事告発等の手続きを
するべきでした。そして、
警察署にて調書を取らない限り、
届け出た事にならないと、私は後になって知りました。
その日は、何事も無く橋本さんの仕事も終わりました。
そして、私は無事に橋本さんがバスに乗って、
家路についたことを確認しました。
その後、私は、土曜日の晩に電話した宗教団体に
電話を入れました。電話には、
総務の石川さんが出てくれました。
そして、私は、中村が教会に現れ、
説得出来たかどうかを尋ねました。
「昨日は、支部の皆さん、注意して
中村さんが来るかどうか見ていたそうなのですが、
どこにも現れなかったそうで、
説得出来ていないんですよ」との返事でした。
私は、「昨夜から、本日の未明にかけて、
中村から私の携帯電話に電話がありました。
電源を切っていましたので、留守番電話に
メッセージが録音されていました。
メッセージは十数回に及んでいます。
当方の従業員に危害を加えるとか、
私の命を狙うとか言う、
犯行を予告する内容になっています。
とりあえず、警察には話していますので、
もし、警察から問い合わせが合った場合は
宜しくお願いします」と、伝えました。
石川さんは、びっくりした様子でした。
そして、もし、中村が現れ、組織の誰かが
本人と話が出来たならば、すぐに私に連絡をしてくれると
約束してくれました。しかし、
その時以降、その宗教団体から
私に電話がかかって来ることはありませんでした。
私が石川さんとはもちろん、その宗教団体の方と
話をするのは、それが最後となりました。
私は第一ビル管理事務所を兼ねている会社の社長と、
業務担当者である野口さんにも事情を話し、
中村が来る可能性があることを事前に伝えました。
管理事務所の樋口社長は、
「うちは、男がたくさんいるから、別に心配無いけど、
君の場合、一人だからね。
橋本さんに、もしもの事があったら気の毒だしね。
もし、そのおばさんが現れたら、
急いでここに逃げ込む様にと、
橋本さんに言っておいてね」と、心配してくれました。
幸にも中村は、野口さんと殆ど面識が無かったので、
野口さんが中村の脅迫の対象になっている様子は
ありませんでした。しかし、
中村が留守番電話に放った生の声を聞いてしまうと、
野口女史でさえ、あまり気味の良いものとは
言えない様子でした。
その日は何事も起こらずに一日が終わりました。
しばらくは中村が現れる可能性があるので、
私は毎朝、橋本さんが出勤して来る時間よりも早く、
ビルに来る様にしていました。
まずは、バス停からビルへの道に、
中村が隠れていないかどうかを確認しました。
次に、駐車場内に中村が潜んでいないかどうか
注意しながらビル内に入りました。
シャッターを開けた後、セキュリティの確認をしました。
異常がなければ、外で橋本さんが来るのを待ちました。
もし、中村を発見したならば、
橋本さんの携帯電話に通知し、
交番に駆け込んでもらう手はずになっていました。
そして、私には一日中周囲に気を配る毎日が
しばらく続きました。


続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る

歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



美空ひばり メドレー
「みちづれ、夢追い酒、北国の春




昨日という日は歴史、
明日という日はミステリー、
今日という日はプレゼント
(贈り物)


時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる
 

 
 
 
 
 
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