流れ雲

繰り返しと積み重ねの過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく、神戸発信

知られざる命

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

知られざる命 
Author: 壇次郎


北海道を舞台に、歴史に翻弄された
小さな命がありました。
太平洋戦争から近代に至る出来事に
感動される物語です。
誰もどうすることの出来ない悲しい事実が
ありました。
命の大切さを考えさせられます……  


第七章 青函トンネル(1)

北海道では本州を「内地」と呼びます。
当時の庶民には、津軽海峡を渡す連絡船だけが
内地を結ぶ交通の手段となっていました。
その連絡船も、戦争中には
アメリカ軍の標的になっていました。
当然のことですが、悪天候ともなれば、
連絡船も欠航してしまいます。
かつて、台風による悲しい海難事故もありました。
それは、この青函連絡船の名前を取った
洞爺丸事故」と言い、タイタニック号に次ぐ
多くの犠牲者を出すこととなってしまいました。
その海難事故をきっかけにして、
内地と北海道を結ぶ青函トンネルを望む声が、
より大きくなって行きました。
やがてトンネル構想は、多くの研究者や
推進派の人々の努力で具体化され、
巨大な国家プロジェクトになって行きました。
そして、ついに、青森県竜飛岬と北海道福島町を結ぶ
総延長53キロの海底トンネル完成を目指し、
1964年五月、まずは北海道側で斜坑掘削が開始されました。
そして、泰蔵もこの巨大なプロジェクトに
従事することとなって行きました。
泰蔵が勤務する建設会社は、函館市内にありました。
青函トンネルの工事が始まると、泰蔵は
母、華を連れ、福島町に移り住む様になりました。
晴れた日は、津軽海峡を挟み、
対岸の青森県竜飛岬が良く見える福島町は、
函館から車で一時間余りの距離に位置します。
華が働いていた市場がある函館港には、
福島町からの船が多く立ち寄っていました。
その為、華には福島町に知り合いが多く、
華にとって函館を離れることは、
なんら寂しい気持ちなどありませんでした。
泰蔵と華は、魚河岸で知り合った福島町出身の
漁師さんから紹介を受け、港が一望できる
一軒家を借りることとなりました。
そして、華は毎日、泰蔵が無事に
仕事から帰って来ることだけを願いながら
新しい生活を始めました。
 
1967年三月になると、先進導坑の掘削が始まりました。
1971(昭和四十六)年十一月、
新幹線断面の本工事起工式が北海道側で行われました。
そして、だんだんとトンネル工事に従事する人々で、
福島町の街は賑わいを増して行きました。
そこでの工事には常に最先端の技術が用いられていました。
掘削機械、止水対策、初めての難題にぶつかる度に、
大学の研究者をはじめとした対策チームが結成されました。
まさに、国を挙げての研究開発が
トンネル工事と共に進められていました。
ある、寒い冬の日の朝、
泰蔵はいつもの様に家を出ようとしていました。
この日は、華にとっていつもとは違う感情が
心を過ぎっていました。
華は、前の晩、夢を見ました。
弥助が急に現れた夢でした。弥助は、
「泰蔵と約束していた釣に出かけるため、
泰蔵を迎えに来た」と、夢の中で言っていました。
華は、「今さら、そんなこと言わないでよ。
なにさ、今頃になって・・・」と言い、
弥助を玄関に入れまいとしていた夢でした。
華 「泰蔵、今日、仕事休めないかい?」
泰蔵 「何さ、母さん。急にどうしたんだい?」
華 「母さん、今日は身体、こわくて
(調子が悪い)さあ・・・。
車で病院に連れてってくれないかい?」
泰蔵 「そんたらことだったら、
裏のおじさんに頼めばいいっしょや・・・。
今日は吹雪いてるから、船も出ないっしょ。
おじさん、ずっと家にいるべさ・・・」
華は、昨晩見た夢の事など、
泰蔵には言えませんでした。
母親が嫌な夢を見たからと言って、
仕事を休む様な泰蔵ではないことぐらい、
華は十分に知っていました。
そして泰蔵は、華の作った弁当を持って、
いつもの様に出勤して行きました。
泰蔵が出かけた後の津軽海峡は、
吹雪となりました。
その日の泰蔵は、先進導坑の最先端にいました。
水深140メートルの海底から、
更に100メートル以上の深さを、
トンネルは掘り進んでいます。
外の極寒の吹雪とは違い、
作業場の気温は30度を超え、
湿度は100パーセントに達するほどの過酷な条件です。
泰蔵は他の作業員とそこで共に汗を流していました。
午後の作業が始まり、まもなくの頃でした。
突然、泰蔵の目の前にある岩の壁から、
水が一気に噴出しました。大変だと思った瞬間、
真っ黒な壁は大きな岩となり、
泰蔵目がけて崩れ落ちて来ました。そして、
泰蔵の記憶はそこで途切れてしまいました。
そばに居た仲間に助け出された泰蔵は、
意識の無いままトンネル内から担ぎ出され、
すぐさま、近くの診療所に運び込まれました。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


美空ひばり 弁天小僧



「白浪五人男」の中の一人、
弁天小僧菊之助美空ひばりが演じた
娯楽時代劇。
菊之助の不幸な生い立ちから、
「白浪五人男」に加わって
義賊として活躍するまでをテンポ良く描いており、
クライマックスでは、お馴染みの
歌舞伎の芝居とそれまでのドラマが融合すると言う
面白い試みもなされている。


昨日という日は歴史、
 明日という日はミステリー、
  今日という日は贈り物、


時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる