独りっきりの裁判 第１－１０話

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな ！！

信じれば真実、疑えば妄想……

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

創作、ドキュメンタリーです。
ストーカー行為から脅迫に至った
加害者を相手に、
刑事、民事と奮闘したあげく、
独りで裁判に持ち込みました。
このストーリーでは、
民事裁判の手法や解説を交え、
被害者が直面されるであろう
問題点についても訴えています。
Author: 壇次郎

独りっきりの裁判　第１－１０話　
（解雇）
中村は突然、「明日、休みます」と言って、
前日の夕方になってから
私に電話をして来ることが多くありました。
特に私は、休む理由を聞く事もしませんでしたが、
一人しかいない清掃員であったので、
やはり、急に休まれると困ります。
その度に、また私が早起きして、
こっそりとビル内の掃除をしていました。
ビルに入居していたテナントの方から、
中村が宗教の勧誘をしているとの
苦情が寄せられました。
早速私は、中村を厳重に注意しましたが、
当の本人は不満そうでした。
私に注意をされることが不満でもあり、
他人に何かを言われること自体に
拒絶心がある様子でした。
また、中村は、私の為にビルに掃除を
しに来てあげている、といった感覚でした。
実際に、そう言っていました。
たぶん、中村の採用時に
「すぐにでも勤務してほしい」と、
私が中村に頼んだ事が、
この様な考えにさせてしまったのでしょう。

ある日の事でした、私は早朝より外出し、
別のビルで修繕作業をしていたら、
私の携帯電話が鳴り出しました。
相手は中村でした。
ビルで何か緊急事態でも発生したのか、
中村が何かヘマでもしでかしたのか、
私は心配な気持ちに駆られ、電話に出ました。
中村はいきなり、
「私、貴方に謝らなければならないので・・・」と、
切り出しました。
私は、てっきり今までの迷惑行為を
反省したと思いました。
しかし中村は話を一方的に続けました。
「私、今まで別のビルでも仕事をしていたんです。
黙っていてすみません。
そのビルの仕事、断りましたので
もう、第一ビルだけの仕事になりました。
これからは、貴方のためだけに
働ける様になりました・・・」
この中村の言葉を聞いた私は、ジリジリと頭に
血が昇って行くのを感じました。
「貴方がどこで、どんな仕事をしようとも自由ですよ。
第一ビルで決められた時間に決められた仕事を
すればいいことですから・・・。
私の為に働くだなんて、冗談じゃないよ。
忙しい時に、へんな電話、掛けて来るなよ！」
中村は明らかに感覚がずれていました。
思い違いとか、勘違いと言った事とは
全く次元の違う感覚です。
一方的な思い込みが、この様な感覚にさせたのか、
元々、この様な人物なのかは私には解りません。
その後も中村の勤務は続きました。
あまりにも掃除が雑である中村に対し、
私が注意を促していた時のことです。
全く自覚をしていない中村は、
「私が気に食わないのなら、
いつでもクビにしたっていいですよ」と言ってきました。
私は、内心、やっと言ってくれたとの
気持ちにもなりました。
その時の中村の態度、言動は、
まさに私の為に働いてあげている、と言った
感覚でした。この言葉をきっかけに、
私は労働基準法に
抵触しない様な方法をとりながら、
一ヶ月の解雇予告期間を設け、
中村を辞めさせることにしました。
理由としては、雇用契約書の解雇の条件を
満たしている為です。
新聞の配布や清掃状況などについて、
ビルの人々からの苦情が絶えないといった
理由からです。でも、中村は、
自分がなぜ辞めさせられるかが
理解出来ません。
自分から「クビにしてもいいですよ」と
言っておきながら、
「ここでの掃除の仕事を続けてもいいんですよ」
「来て欲しければ、いつでも来てあげますからね」
などと、言い続けていました。
当時の労働基準法に従えば、
１ヶ月の解雇予告手当を支払えば、即刻、
解雇できるのですが、
新たな清掃員が見つかっていない現状、
本人が清掃業務を続けるのであれば、
それでいいと思いました。
そこで、新たに業務内容を修正した
労働契約を締結し、
中村が、いつ休んでも良い様に、
与える仕事の内容もぐっと減らしました。
中村の仕事は、廊下とトイレだけを
掃除することに限定しました。
もし、中村が来なくなっても、
私は、それでもかまわないと思っていました。
再び、私が早起きをすればいいことです。
朝の玄関開錠と、駐車場のシャッター開け、
照明、トイレットペーパー、
トイレのゴミ箱のゴミ収集は、
私がする様にしました。
私が仕事で朝、ビルに来られない時は、
容態の落ちついた加藤さんに
仕事を頼みました。
加藤さんにでも、片手で作業が出来る内容ですし、
歩いてビルに来られますので、
特に問題はありませんでした。
まだ身体が不自由な加藤さんでも、
一時間もしないで作業が終わり、八時には帰れます。
そこで、中村の勤務時間は、
朝９時から１１時までとしました。
再度、私は、新たに清掃員を
募集することにしました。
以前と同様に、ハローワークと
求人誌を利用しました。
いつ、事務所に問い合わせの
連絡が入ってもいい様に、
私は留守中、加藤さんに、
お昼まで電話番を頼みました。
加藤さんには、中村に逢わない様、
事務所から外に出ないことを勧めていました。
加藤さんはラジオを聴きながら、
缶コーヒーを片手に、電話番をしてくれました。
私が加藤さんを電話番に頼んだことについて、
私は中村に一言も言っていませんでした。
しかし、事務所から聞こえて来るラジオの音で、
私以外の人物が中に居ることを、
廊下を掃除していた中村は気付いたのでしょう。
この加藤さんに応援してもらったことが、
中村の嫉妬心を更に増大させ、
それが妄想、幻覚にまで発展し、
修正不可能な思い込みとなってしまいました。
そんなことになるなんて、当時の私には、
想像も出来ませんでした。

私は、なるべく中村と会わない様にしながら、
１ヶ月ほどが経過しました。
中村の勤務最後の日、中村に
二度と私の前に現れて欲しくない気持ちから、
念書を作成しました。
念書には、私を含めた第一ビル関係者に対し、
禁止事項を設けました。
・宗教活動をすること。
・個人的交際を求め、接触を試みたりすること。
・ストーカー行為をすること。
・用も無く、第一ビルに立ち入ること。等を禁じた
内容にしました。
更に、禁止事項が守られない場合は、
法的手段に訴えると警告しておきました。
一方、当社との労働契約や契約履行内容に
中村が不服ある場合には、労働基準監督署に
申し立てすることが出来るとも、付け加えておきました。
私が念書の内容を説明しても、
中村は全然聞いていませんし、理解もしてくれません。
相変わらず「いつまでも、あなたと話をしていたい」と、
言い続け、念書を読み上げる私の姿を、
微笑みながら見つめていました。
念書を読み上げ、説明の終えた私は、中村に、
その念書の文末へ署名と捺印をさせ、
複写を中村本人に渡しました。
手続きが終わっても、中村は、いっこうに帰ろうとしません。
相変わらず、中村は、「また、来ますから」
「お掃除、続けてもいいですよ」
「そんな、冷たいこと、言わないでよ」
「一緒に教会に行きましょうよ」と、いい続けています。
とりあえず、明日から来なくても良いことは、
解った様子ですが、
それ以上のことを理解してはいませんでした。
そこで私は、逃げる様にして部屋に鍵を閉め、
追いかけてくる中村を無視し、車で外出しました。
雇い入れてから、二ヵ月半が経った
３月２９日の出来事でした。その日、
中村から逃げる様にして外出した私は、
夕方、ビルに戻りました。
すると、私の会社宛郵便受けに中村から
手紙が投函されていました。そして、
手紙と一緒に２万円が入っていました。
以前、「返す」と言っていた２万円です。
私が再度、振り込んでいた２万円です。
もう、中村にいくら言っても無駄だと、
私は感じました。
その２万円を再び中村の銀行口座に
振り込んだとしても、また、戻しに現れるでしょう。
手紙の内容は、いつもの様に告白めいた言葉に加え、
また来る様な事も書いてありました。
やはり念書の意味、内容、さっき言った事、
中村は、何もかも全く理解していませんでした。
私は早速、中村宛に管理組合という仮名で、
念書と同じ内容の『警告書』を作成し、
当日中に郵送しました。
私には、念書も警告書も、
中村にとっては何の意味もなさないのでは、との
不安がありました。
しかし、他にどんな術があったでしょうか。
誰か、中村に直接話をしてくれる人が
欲しかったのですが、残念ながら、
そんな人物は、
私の周りに存在していませんでした。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る

歌は心の走馬灯、
　歌は世につれ、世は歌につれ、
　　人生、絵模様、万華鏡…


美空ひばり・舟唄



昨日という日は歴史、
明日という日はミステリー、
今日という日はプレゼント
（贈り物）

時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる

P R
特　長
１ボディーのローリング傷
２.拭き傷
３.頑固な水アカ　
４.ボデー面の退色･艶消え
５.ワックスを掛けても綺麗にならない
６.ウォータースポット(水カタ)除去 
ボディーの汚れや、艶引き等が簡単に復元できます。